恋ひ心ex
.
ふわり 上着が宙を舞う。 その隙間を縫うように、フランソワーズがジョーに向かって腕を伸ばし、思いっ切りダイブした。 顔を彩るのは 艶やかな大輪の華 ジョーの首に抱きつくように廻された、細い腕。 髪を優しくかき擁くしなやかな、指。 驚きながらも、柔らかな…本当、に 幸せそうな微笑みを浮かべて 彼女の細腰に廻されたジョーの腕。 瞳を伏せ、眼下の髪に頬を寄せ…その存在を確かめるかのよう、に 手を腰から背中のラインへと、行き来させて。 ───やがて。 ジョーは、フランソワーズの耳許に唇を寄せ、囁く。 中断していた フランソワーズが切望していただろう まるで映画のワンシーンのよう、な 「───…って 其れだけかよ おい!」 物陰からずっと 「何を期待していたんだ お前は」 カラになったシガレットケースを手で弄びつつ、呆れ顔のアルベルト。 「そりゃぁオレ等だってお年頃、だし?──…それなりな コト」 「──────…複数形、なのか?」 「何だよ その『間』は」 「いや、別に」 「「……………………………………………」」 「ま、最高のバースディプレゼント、なんじゃないか?…ジョーにとっては」 「へっ?誕生日?」 「……知らなかったのか?」 「いや、そうじゃねーけど───…そっか 誕生日、か」 そう云うと、ジェットはニヤリ、と ほくそ笑んだ。 「じゃ、誕生日が過ぎたらオレが手ェ出しても構わない、と」 「───…それは違う、と 思うが」 「い〜んだよ!ジョーのモノはオレのモノ、オレのモノはオレのモノ」 腰に手を当て嬉しそうに断言する姿、に アルベルトはがっくりと肩を落とす。 「……ま、せいぜい馬に蹴られないように な」 ───いや、其れよりも。 モノ呼ばわりされた 火の粉が飛んで来なければいいが…と、思わず己が保身を考える、苦労性のアルベルトであった。 |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||