共犯者













                             彼女の腕の中

                             この世で一番 安心出来る 場所


                             僕が愛してやまない 唯一 の







         黄から緋へと


         色彩(いろ)を変えた それ を 風に靡かせ、鬱蒼とした景色の中、彼女は独り 立ち尽くす。
         凛とした 透明な 空気を 纏って


         ────────── 独り。




         精神だけとなり 浮遊するイワンは そっとフランソワーズの傍に立つ。
         伝わってくるのは、緊迫した空気 と 穏やかな 安堵。
         皆が、戦う意思 と 決意 を固める中、独り 日常と変わらぬ────もしかしたら それ以上 の
         『 安堵 』を その空気(なか)に 見出している。

         この戦いの中、に ありながら────────────‥‥






         “君ハ戦イヲ望ンデイル ノ?”

         「‥‥何故?」

         “独リ『 喜コンデイル 』カラ”

         「‥‥そうかも しれない」

         “ナノニ 戦イノ終焉ヲ望ムノハ 何故?”

         「‥‥生きるため に」

         “何ノ為ニ戦ッテイル ノ?”

         「‥‥生きるため に」




         “矛盾、ダネ”




              終焉を求めてやまない
              なのに
              戦いを望む 心




         「いいえ ちっとも」


         フランソワーズは微笑う。それは 日常に垣間見せる ソレ と、遜色なく。


         「‥‥独り暮らしをしてみて ‥‥思った の」




              ─────────そう

              何気ない『 日常 』を重ねる度 に
              『 再確認 』してしまう


              人間(ひと)為らざる『躯(からだ)』と、己が『 存在理由 』


              独り なのだ、と



              還る『 場所 』は たった 1つ

              その『 場所 』を護るため、に 戦う、のだ

              平和 より、も 戦いのない 明日、より も


              ────自分の『 居場所 』を 護る ため、に


              その為、に



              その為 だけ に────────────




         「‥‥なん て、口が裂けても云えない けど」

         “何故、ぼくニ?”




              望むのは
              戦いのない『 明日 』より、も
              あなたの 微かな笑顔




         「ん〜 何となく」

         “何トナク‥‥ネ”




                             何て
                             何て 強欲で 身勝手で 愚かで

                             何て──────人間(ひと)らしい 心





         佇む フランソワーズの横顔 に、イワンは手を 伸ばしかけて‥────止めた。
         止めた 手、を ひた と見つめる。

         ────小さな手

         内在する『 能力 』に 関係、なく。

         ────それ は 幼子の それ 以外の何物でも、なく。




         “ぼくニ‥‥何ガ 出来ルノ カ ナ?”

         「‥‥イワン?」


         “無力、ナンダ ぼく ハ”



         それは 小さな──────小さな 本音。
         だが、呟かれた『 声 』を フランソワーズの優秀な耳 が、聴き逃す 筈も なく。




         「イワンに出来ないこと、なんて ない じゃない」

         “出来ナイ コト‥‥ダラケ、ダヨ”




         何1つ 叶う『 望み 』など なく。




         「‥‥やりたいこと でもある、の?」




         どれ程、渇望した処で 手に入らない




         “欲シイモノナラ ネ”




                             あなたの傍らに立つヒトのよう に

                             欲しいのは

                             あなたを抱き締める 大きな腕


                             あなたの笑顔を『 護る 』力





         「イワンが欲しいもの、って 何 かしら ‥‥想像付かない わね」




         花が綻ぶような 笑顔。柔らかな 眼差し。

         彼が────‥イワンが望む それ、とは 内包する『 意味 』が 違う、けれ ど。

         それでも────────‥




         “1つダケ‥‥出来ルコトガアル、カナ”

         「なぁに?」




                             あなたの笑顔を 護れる なら ば

                             あなたが──────


                             あなたが想う人達が そう───‥願う限り





              “地球ノ命運(みらい)ヲ ‥‥全テ アナタ ニ”










         黄から 緋へと
         警告から 暴走へ


         止まらぬ 想い
         止められぬ想い




              望むのは 戦いのない『 明日 』より、も
              あなたの 微かな笑顔




                             望むのは
                             平和より も 何より も

                             あなたを抱き締める 大きな腕

                             あなたの笑顔を『 護る 』力


                             あなた だけ、を──────





              何て
              何て 強欲で 身勝手で 愚かで

              何て──────人間(ひと)らしい 心




                             彼女の腕の中

                             この世で一番 安心出来る 場所


                             僕が愛してやまない 唯一 の






              その『 場所 』を護る ため、に

              あなたに あげる、よ


              唯一にして 最大の『 ボクに出来る コト 』









                        “地球ノ命運(みらい)ヲ 全テ アナタ ニ”












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DVD最終巻を観て。ラヴいのか暗いのか黒いのか‥‥微妙。
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