まほろば 




















最初は 手を繋いだだけ



それだけで心が じんわり と 温かくなった

しかし人間(ひと)という生き物は 貪欲 で






其れでは満足出来なく、なる














エスカレートする欲望(のぞみ)













───(からだ)ごと、繋ぎたくなって



『抵抗』されないのを いい事に、唇に触れてみた。




指先、で

己が唇で




啄ばむような其れ、は 静かに確実に『侵食度』を増し










全て、奪って











柔らかな唇から零れた 微かな吐息すら───…逃したくなくて
吐息の零れる唇を 自分の手で覆い隠して





    ───オレだけを 見ていれば いい












其処で()が醒めた




















この季節になると、不可思議な夢、を 観る。
其れは決まって、酒を浴びる程飲んだ…酩酊状態の夜。

酒気を帯びた躯、には夢さえ…やけに、リアル、で。



『夢』を観出したら───…行き着く処は 決まっていて



















                                  最初は 唇

                                  さくら色に染まった 耳朶

                                  まろやかなラインを描く うなじ

                                  薄い影を造る 鎖骨のくぼみ

                                  細く 滑らかな 指先















───総てに自分の刻印(しるし)を刻み付けて















                                  艶やかに 啼く 声

                                  悩ましげに寄せられた 眉間

                                  跳ねる 躯

                                  シーツを繰る 脚   

                                  縋りつく 華奢な腕



                                  繰り返し呼ばれる───…自分の名前





















煽った躯に 煽られる





眩暈のような






溺れるだけの底なし沼





倒錯的刹那









「ん、ん、っ…ジェッ、トぉ…」




シーツの波にたゆとう
輝かな亜麻色 の、髪











フランソワーズ!?












それが『夢』の終焉(おわり)
















相手が顔見知り───…以上の存在、故に

伝わる温度と感触が、奇妙な具合に『現実』とリンクする。






「欲求不満、か、よ…」




夢見の朝は、起きること、すら、億劫。

かと、いって 起きぬ訳にも───…往かず。





















「おそよう ジェット」



厭味半分、本音半分で フランソワーズが声を掛ける。


「…ぉ、おぅ」
「どうかしたの?顔色、良くないみたい」
「いや 別に…」
──…そぅ?それならいいけど」



そう言って、踵を還すフランソワーズの髪が 撥ねるように 宙を舞う。



ふわり



翻った髪の隙間から覗いた、うなじ…には








『夢』の中、刻み付けた其れ と 同じ場所
















同じ 痕跡












「……!?」















何処までが『夢』、何処までが『現実』───…


















───Top secret



The truth is a through all eternity inside in the dark.
























真実は永遠に闇の中




















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夢・妄想・願望…お好きなオチで






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