お礼参り




        「恩は2倍、仇は10倍返しって言うだろ?」


        「‥‥ は?」
         彼 曰く。
        「手作りには手作りで返すのがスジだろ?」
        「‥‥‥‥‥ はぁ?」
        「だ・か・ら・っ!バレンタインにさ、手作りチョコ貰っただろっ
         今年はバタバタしてて 3月14日に渡せなかったけど 要は気持ちだから
        『 遅い 』なんてこたぁないしなっ!」




        「‥‥それを云うなら『 3倍返し 』じゃないの?」
         フランソワーズは何の前触れもなしに 他のゼロゼロナンバーズから自室へ
         拉致られながらも、冷静な意見を述べる。
        「それ以前の問題だ ‥一体何を考えているのやら‥‥」
        「‥‥ねぇ もしジョーが『 手作りで返す 』なら『 何 』を返す?」
         ピュンマの問いにジョーは瞳(め)を ぱちくり としばたかせ、暫し考え込む。
        「ぅ〜‥‥ 『 チョコ 』かなぁ?」
        「貰ったのに?」
        「うん そのっ‥嬉しかった から‥ その気持ちが判って貰えればなぁ って‥」
         はにかみつつ ほにゃらり とした喋りに、皆の心はきっと1つだっただろう。


        “この天然めっ”


         ‥‥ちなみにフランソワーズを拉致ったのは、ジェットを除いた全員 である。
        「嗚呼ぁ〜‥‥ 後片付け 大変アル‥‥」
         がっくり と項垂れる 張大人。
        「‥‥それで済めばいいが‥」
         微妙にフォローではないものが科白に見え隠れしている ジェロニモ。
        「あとはマドモアゼルだけが頼みの綱 麗しき微笑にて彼の人の愚行を停め給う」
         冗談のようにのたまいつつ、実は本音100%かと思われるグレート。
        「‥ジェットが台所を使うって 予測でしょ?それ」
         確かに 僕なら チョコを作る って云ったけどさ〜 と不思議がるジョー。
        「簡単だ お前とジェットの頭は同レベルだからな」
         相変わらず のアルベルト。
        「‥‥僕 あんなに鳥頭じゃないけど」
        “ふらんそわーずガ絡ムト ソレ以下 カモネ”
         やっぱりトドメを刺しにくる イワン。
        「‥‥ 要するに」
         フランソワーズが何やら思案しながら皆の表情(かお)を見渡し、結論付ける。


        「何としてでも‥‥ ジェットを 止めればいいのね?」




         ‥‥ 10分後。
         一仕事終え さわやか笑顔のフランソワーズ と、まるで この世の終わりを
         見たかの様に 凍り付いたジェット が キッチンで絶妙なコントラストを
         描(えが)いていた‥。

         一体、2人に‥‥否(いや)『 ジェット 』に 何が起こったのか。







         ‥‥ それは 未(いま)だ『 謎 』に包まれたまま である。












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きっと永遠の謎 知らぬが花
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