平行線な2人




         ver.1


        『 彼女 』 ― フランソワーズ の こと

         今更ながら『 彼女 』は、よく判らない女性(ひと)だ。
         怖がって、身を寄せてくる かと思えば
         敵に鮮やかな回し蹴りを食らわせてみたり。
         戦いが嫌いだと泣いても、いざそうなると 躊躇なく 駆けてゆく。
        「今更 何云ってるんだ?昔っから『 あぁ 』だったじゃねぇか」
         ジェットは 当たり前だとばかり に云うけれど。
        「『 女性心理 』を解(わか)ろう なんて1000年早い」
         アルベルトは容赦なくこき下ろす けど。
         君達は付き合いが長いから とは、絶対に 云いたくない。

         口惜しい から

         思ってる以上に『 壁 』が厚いと思うんだ。

         第1世代の君達と 僕と では

         出逢った頃よりも気持ちは近付いている と ‥‥ 思う。
         でも逢う度に イメージが違うから 何だか落ち着かない。
         どう対応していいのか判らずに『 どきどき 』してしまう。

         この感じは 嫌い じゃない けど



        『 彼 』 ― ジョー の こと

         今更ながら『 彼 』は、可愛い男性(ひと)。
         東洋人は若く見えると云うけれど、
         彼の場合は それだけが要因じゃない と思う。
         戦いたくないと叫びつつ、確実に敵を倒していく 後姿 とか。
         憂いを含みつつ、嬉しそうに笑う瞳(め)とか。
        「そうかぁ!?オレには判らん」
         ジェットは 聞く耳持たないとばかり に云うけれど。
        「男女間の1歳差は大きいからな」
         アルベルトは含み笑いしつつ 皮肉を 云うけれど。
         あれは絶対『 天然 』だと思うの。

         いつまでも変らないで いて

         そう思うのは わたしの我が侭 かしら

         出逢った頃よりもずっと逞しくなった と ‥‥ 思う。
         逢う度に そう感じて自分のコトのように 嬉しくなる。
         成長する姿を見てるだけで『 うきうき 』するの。

         この感じは すごく 楽しい






        「うっわ〜‥‥オレともあろう者がジョーが不憫だと思ってしまった」
        「‥‥‥忠告してやるか?ジョーに」
         アルベルトの問いにジェットは にやり と人の悪い笑みを浮かべる。
        「いーや 面白いから このままほっとく」
        「‥‥‥同感だ」
         アルベルトはおろかジェットにまで『 遊ばれている 』ジョー。



         お互いのコトを考えてはいるが、微妙に 何かが違う 2人。

         ‥‥ 明日はどっちだ。





         ver.2


        『 彼 』の 想い

        「傍にいて」
         確かに僕は、王女イシュキックに近寄った。
         でもそれは 彼女と生きよう と思ったからじゃないんだ。
         ただ何とかしたかっただけ。‥‥ もしも 自分に出来る事が あるなら。

         ‥‥‥ 否(いや)

         たった独り、永久に 閉じられた時空で 過ごすであろう『 彼女 』に
         いや、彼女の流した涙に フランソワーズの背中を 重ねた から。


         フランソワーズは『 独り 』じゃない。

         気丈で、いつでも微笑っていて ‥‥‥ でも

         ‥‥ 僕は 知ってる

         面と向かって言わないからこそ 刹那い科白(ことば)。

        「傍にいて」

         フランソワーズもまたその科白を内包し続けた女性(ひと)だから。

         だから 力に なりたかった。



        『 彼女 』の 想い

        「傍にいて」
         あの時あなたは、王女イシュキックに近寄ったわね。
         そうするだろう と思ってた。あなたは 優しいから
         きっと自分に出来る事があるなら 力になろう とするから。

         ‥‥‥ 否(いいえ)

         それでは、あの女性(ひと)は 救えない。
         あの女性(ひと)を救えないことを 薄々気付いていた から。
         だから ‥‥ 止(と)めたの  止めたかった の。

        「行かないで」

         救えないコトを知ったら、きっと傷ついてしまう から。

         傷ついて欲しくない の
         優しくて 傷つきやすくて 子供みたい な あなた

         ま、そこがジョーの可愛いところ なんだけど ね。
         まだまだ眼が離せないわね あたしが しっかり しなくっちゃ。






        「しまったあぁぁっ!ちょっと居ない間に楽しい事になってるじゃないかっ!!」
         頭を抱えて叫ぶ、ジェット。
        「‥‥‥‥ 楽しい のか?」
         アルベルトは、梅昆布茶を啜りながらジェットに問う。
        「当たり前じゃねぇか!日本には『 人の不幸は蜜の味 』ってのがあるだろ!!」
        「‥‥‥‥ 不幸? 誰が」
        「そんなのジョーに決まってるじゃねぇか からかいがいがありそうだしなっ」
         お前の思考パターンも面白いぞ とは、決して口にしないアルベルトだった。



         何処まで行っても やっぱり 平行線な 2人

         ‥‥‥‥ 明日は どっちだ。












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平行線と云うより寧ろ一方通行 しかもお互い方向違い
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