(すきま)















─────まるで呼ばれたかの、よう に。




普段なら、通り過ぎてしまう程 の、微かな『隙間』。
うっすらと開いたドアの向こうに垣間見てしまった、信じられない光景──────‥






見覚えのある長いマフラー
見憶えのある短い銀色の髪


銀色の髪を滑る
華奢な指、と




「‥‥‥ん‥」




甘い 声
聴いたことのない、艶を含んだ それ‥──────




「 ふっ ‥‥」




ベッドから伸びたマフラー、が 吐息と共に揺れる。

右に
左に


ツクリモノの心臓もそれに併せて揺れる。



頭、に 血が上る
喉、が 焼け付く
躯、が 凍り付く




足許からせり上がる 喩えようのない、不快感


    『何か』が壊れてゆく、よう─────────‥な ソレ










    恐怖か

              嫉妬か

                        絶望か──────












「‥ぅ、嘘 だ、ろ‥‥!?」





ぱさり、と

落ちるよう、な 絹擦れの音を耳にした瞬間、『彼』の我慢は限界を越え 隙間に向かって手を伸ばした。




「何してやがるっ!!!」




怒声と共に開け放ったドアの向こうには、呆気に取られた表情(かお)をした、少女と
少女の髪を弄ぶ、見慣れた 銀色の髪、の─────‥







「ジェット?」


上半身だけを起こし、瞳を擦りながら 応える、フランソワーズの隣



「‥‥‥‥‥‥」







マフラーと戯れる─────────‥ヒトが悪そうな赤子が居た。






「も〜っ せっかく眠りかけてたのに〜‥‥」
「‥‥悪ぃ」




    誤解するような声、出すな!
    怒りたいのはこっちだっ






嬉しい、よう な 哀しい、よう な



────そんな彼の心の声が彼女に届く筈もなく。

飛び込んでくる、のは 容赦ない‥─────恐らく『元凶』の














『‥‥大人ッテ 不潔ゥ〜』










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afterword






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