(ぎもん)















重ねたり
奪ったり















「ねぇ『吐息を重ねる』ってどういう意味、なのか な?」








────それ、は ジョーの唐突な爆弾発言から始まって。









「‥‥母国語、だろうが」

ハードカバーに目を走らせつつ、アルベルトが普段よりも低め、の 微妙に緊張したトーンで応える。



「っつーか、誰に訊いても差し障るよなぁ ソレ」

床に寝そべりつつ、テレビ欄を真剣に吟味している ジェット。



「じゃあ『吐息を奪う』でも いい、よ」

更に真剣な面持ちで、アルベルトとジェットを見つめる ジョー。



「余計悪いわっ!」
「何で?」
「何でって、お前‥‥」
「判らないから訊いているんじゃないか 『訊くは一時の恥』って云う、だろ?」


「‥‥一生は一時の集大成って気がするがな」









「実践で教えましょうか?」









居合わせたフランソワーズがジョーの更に上を往(ゆ)く爆弾発言。しかも極上の微笑付き。
未だ、正午にも満たない 日差し溢れるリビング、で。似つかわしくない『内容』の会話を止めるもの、は
────残念ながら存在しない。




「「絶対に駄目だ」」
「あら どうして?」
「「どうしても」」




“僕ガ説明シテアゲル、ヨ”




何時の間にやら、ふよふよ と空中を漂うクーファン。




「本当!?」

ぱあぁっと、嬉しそうな期待に満ち満ちた表情(かお)で、ジョーがクーファンに瞳(め)を向ける。



“僕ガ嘘ヲ付イタコト、アル?”

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

イワンの科白(ことば)に、ジョーの笑顔が貼り付いたソレ、に変化したのを誰もが見逃さなかった。
────が、誰も何も云わなかった。皆、我が身は可愛い。










“霧ガ出テイル満月ノ夜ニ『合わせ鏡』ヲ行ナウトネ、3年ニ1回位、鏡ガ生物ノ様ニ呼吸スルンダ。ソノ呼気ハ手デ掴メルカラ 折リ畳ンダリ、重ネテ収納スルコトも可能ナンダ”


「じゃあ『奪う』は?」


“掴メル呼気‥‥『吐息』ハネ、簡単ニ造リ出セナイ貴重品ダカラまにあニ高価で取引サレルンダ。所持シテイル事ガ彼等ニ ばれてシマウト、夜道デ襲撃ニ遭ッタリスルカラ気ヲ付ケナキャイケナイッテこと”

















「イワン‥‥‥僕のこと、何だと思ってるの?」











top   back   next




afterword






SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送