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「あいつ等、どこまで行ってると思う?」

「何が」



何処までもゴーイングマイウェイなジェットは場処(ところ)構わず突飛な発言。
当然、脈絡は無く、しかも意味不明。

無駄と知りつつ、殆ど条件反射で返答した己にアルベルトは舌打ちする。




「んなの、ジョーとフランに決まってるじゃねぇかっ!」

「お前には関係のないことだろう───…傷は浅いほうが治りも早いと思うが」


「っ…!そ、それこそテメェに関係ねぇこった!!」




がうっ と噛み付くように咆えるジェットの科白なぞ、何処吹く風。慣れたものである。
興味なさそうにアルベルトは新聞から瞳も離さずに鷹揚として応える。



「だったら当事者に直接訊け 結果は酒のつまみにしてやるから…──因みに慰めんからな」

「不吉な予言すンなっ!」




















───…で?」

───…は?」




柔らかな風が吹く 穏やかな、その日。

のんびりとした時間をフランソワーズと過ごしていた処を いきなりジェットの自室へと拉致られた。




「ぶっちゃけ 何処まで行ってんだ?今更隠すなよ オトコ同士の話だろーがっ」
「ヒトを拉致っといて、それはない、と思う」

「で?何処までだ?ん?」



───…君と意思疎通を諮るのは至難の業、だと再認識したよ」



ジョーの科白(ことば)など意に介さず。
好奇心で形成された、期待に満ちた瞳で解答(こたえ)を待つジェットの様子にジョーは、更なる溜息を付かざるを得なかった。




「ヒトの恋路を邪魔するヤツは馬に蹴られて…──って日本の諺 知ってる?」
「おうっ!オレは日本人じゃねぇから 全然関係ねぇよっ!」

「僕は日本人なんだけど」


──…ねぇ」

「ん?」
「そんなコト訊いて楽しい?」

「………はぁっ!?」


「そういう処…ある、よね 悪気がないのは判ってる、けど…余り他人に云うコトでもないと思うよ」

「だって興味湧くじゃねぇ?想像してみろよ すっげ〜堅物のヤツがどんな表情(かお)で、やらかしてるか、とか」

──…誰のこと 云ってるの」


「オ・マ・エ」




「………云わない」




「あぁ〜ん!?」

「ジェットには 絶対っ!云わないっ!!」



紅い顔で舌を出す、子供そのものの姿に、今度はジェットが大きく溜息を付いた。

「も、いいや…期待出来そうにねぇ、し」
「きっ…期待って ジェット 僕のコト 一体っ………」


其処まで云って ジョーは はっ と気付いたように口許を手で覆った。ジェットが にやり と笑う。
「かかった、な」
一歩 ジョーに向かって踏み出したかと思うと長い腕をジョーの首に絡めたかと思うと、こめかみを

ぐりぐりぐりぐりっ


「痛い痛いっ いたいってば ジェットッ!」
「おら 吐け吐けっ!!」




「ぁ」



がこんっ!!



一片の躊躇も無く、ジェットの後頭部に叩き込まれた 中華鍋。
何時の間にやら 噂の片割れ──フランソワーズ、が2人の背後に忍び寄っていた。


「楽しそう、ね ジェット」


ほんの少しだけ小首を傾げ、にっこり と微笑む姿 は 女神そのもの。
───但し、その背中には女神、と云うより寧ろ魔女、に近い暗雲が渦巻いているが




「丁度 時間を持て余していた処なの わたしも 混ぜて貰えない かしら?」
「混ぜてやってもいいケドよ〜 オトコの猥談に混ざる気かよ」

「……猥談、って なに?」

「お前とジョーが 何処まで進展してるか、って コ・ト」

「!!」



フランソワーズの頬が薔薇色に染まった。ゆっくりと口許に手を当て…やがて、何かを決意したように 口を開いた。




「そんなに知りたい?」

「えっ?フランソワーズ!?」


驚く ジョー。


「勿論っ!!」


瞳を輝かせるジェットに向かって、投げ掛けられたのは、壮絶な迄の微笑。










「だったら──…2人の屍を 越えてから、いらっしゃい」








    ───は?



何時の間にやら、フランソワーズの背後には、見慣れた過激第1世代コンビ──アルベルトとイワンが控えていた。
背後に控える2人の冷めた瞳、が 無言で物語る。

『この家で フランソワーズに意見する、なんて 莫迦なヤツ』 と。



「どわああああぁぁぁぁぁあぁぁあああぁっっ!!!」




阿鼻叫喚。眼前で繰り広げられる光景は正に『地獄絵図』。

───哀れ、ジェット。























「助かったよ フランソワーズ」
「もうっ どうしようかと思ったわよ 脳波通信で知らせてきた時は」
「フランの云う事なら 流石のジェットも聴くかと思ったから ね」
「…本当にそう思ってるの?」


顔を見合わせ くすくす と微笑い合う。
それから何となく瞳が合ったかと思うと───…どちらからともなく 唇を寄せた。










───…ねぇ」

ジョーが普段より低めの抑えたような声でフランソワーズに囁く。

「なぁに?」

瞳を閉じ、ジョーに躯を預けていたフランソワーズが何処かぼんやり と、夢見るような返事を寄越す。


「このまま…──部屋に行っても、いい?」
「ん……えぇっ!?」


飛び起きるフランソワーズの躯を、ジョーの腕がフランソワーズを優しく抱き込む。


「ぇえッ…こんな時間、からぁっ?」
「あと2、3時間は還って来ないだろ 皆」



「本当なら、もっと……二人で過ごす時間があったんだよ──…?」





耳許で囁かれる、喉を震わせる程度の、微かな。
其れでいて明確な意思を告げる、甘い熱を帯びた、声。

掠れたその声、に フランソワーズは、ぞくり、と身震いして。

顔を隠すよう、にジョーの胸に顔を埋め、そして───…




──…ん」




小さく 小さく頷いた。



ふわり


ジョーはフランソワーズの華奢な躯、を楽々と抱き上げる。髪に口付け、
微笑みかけると、目的の場所(じしつ)へ向かって足を踏み出す…が、その胸中は少々───複雑、で。




    ───絶対 云えないよ




所謂『男女の関係』になったコトではなく。
今はどうあれ、最初のきっかけ(・・・・)、が




    ───彼女に押し倒されたコト、なんて















    ───死んだって 云えないんだからっ!

    ───死んだって 云わないんだからなぁぁっ!!















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キリリク『MISSION...INCONPLETE』のこのこ様 リク内容@2349出演で
大人な93大前提。裏シーン有が望ましい(笑)←表ばっかでゴメン







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