本音の棲処(すみか)




        「しかし‥ アレだな」
         最初に云い出したのは、グレートで。


        「アレって何アルか?」
         乗ってきたのは 張大人。
        「何時の時代も‥‥発展してゆくのは『 若者 』だけなのだな」
         まるで我が子を見るように 愛おしげに見つめる瞳(め)のアルベルト。



        「あぁやってると『 妻の出産に駈け付けた夫と友人 』って絵柄だね」
         至極、真面目な表情(かお)で不謹慎極まりない発言をする ピュンマ。
        「ほほぅ‥貴殿も中々云うではないか ‥して『 夫 』役 は?」
        「この場合、ジョーが妥当ではないのか?」
         何時でも真面目な ジェロニモ。
        「‥‥ 姉の出産に駈け付けた歳の離れた弟2人、しかもかなりシスコン」
         アルベルトの容赦ないが、限りなく真実味を帯びた意見に一同は破顔する。


        「すると『 夫 』は誰アル?」


         張大人の一言に皆は顔を見合わせ ‥‥ やがて結論に達した。

         絶妙のタイミングで見つめる視線の先に居る『 夫 』役 ‥‥ は、



        「ちょっと待て ‥何故 俺を見る?」
         普段よりほんの少し、トーンが落ちるアルベルトの声音(こえ)。


        「‥‥ だって ねぇ? ‥‥っ ‥ 似てる し ?」
         笑いを堪(こら)えながら、応える ピュンマ。
        「いかんっ いかんなぁ 『 奥さん 』を不安にさせては」
         ピュンマの科白にやっぱり乗ってくる グレート。
         そんな2人の様子を横目で眺めながら、苦虫を噛み潰したような表情で憮然と呟く。


        「 俺は あんな可愛げのないガキは 要らん 」



            ‥‥『 ガキ 』 は 要らん ねぇ ‥‥


         グレートがその心中(しんちゅう)で、そっと呟く。
         じゃぁ フランソワーズの『 妻 』は いいのか? と。
         ‥‥ 敢えて口には出さなかったけれど。

         誰も『 ジェット 』だとは云わないことも‥‥ やっぱり黙っていた。
         そして、この対応の正しさは後日証明されるコトとなった。
         アルベルトの躯(からだ)で 持って。






         アルベルトは知らなかったのだ。
         あの時、イワンの瞳が キラリ と 輝いていた コト を。

         相手は 天上天下唯我独尊、向かう処 敵なしの 赤児(あかご)。
         フランソワーズの耳よりも聡い『 地獄耳 』の『 彼 』を誤魔化せる筈もなく。








         イワンの『 能力を再認識した 一瞬 だった 』とは アルベルトの談である。












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口は災いのもと‥‥もとい、雉も鳴かずば撃たれまいに
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