※この話は『昔語り 〜下克上罰ゲーム 4〜』
の続編(寧ろオチ)となっております。
宜しければそちらを先にお読み下さいませ。





          〜 昔語り 2 やっぱりオチは必要よね 編〜














         「でもさ、そんなこと 訊く、なんて‥‥どうかした?」
         「ん〜?何となく 訊いておこうかな、って」
         「何となく‥‥ね」




         「何時か、は 訊こうと思っていた、こと‥‥だから」


         凛と響く声の向こうの その意味、に 気付かない筈もなく。




         「今更、なのに?」
         「今更、になってしまったけれど ね」
         「過去形で?」
         「過去形、で」



         「今はピュンマのこと───‥‥」



         長い睫毛に縁取られた 大きな瞳、が 真っ直ぐにピュンマを 射る。惹かれるよう、に 知的な輝きを放つ黒い瞳、が
         その視線を正面から受け止める────────‥‥









         「続きは後日、に しない?」
         「その意見に激しく賛成‥‥」







         何時の間にやら、と云うよりも寧ろ 既に『お約束』のよう、に。
         フランソワーズの隣りを ちゃっかり、と 陣取る仔犬達───もとい、年下の同志は フランソワーズに続きの科白を云わせまい
         と、何やら必死な面持ちで話し掛けてくる。




         「フランソワーズ、腹へってねぇ?奢るぜ、オレ」

         「フランソワーズ、ぐっ‥偶然だねっっ 僕も出掛けた処だったんだ」



         「ジェット‥お腹空いてるのは君だし、ジョー‥‥偶然じゃなくて『ついてきた』だろ」


         半ば呆れ顔のピュンマ、に 追い討ちを掛けるような呑気な声が更に2つ。しかも隣のテーブルから。



         「ロイヤルミルクティーとスコーン」
         「エスプレッソ」





         「‥‥‥何、してるのかな そこで」
         「ちょっと茶をしばきに」



         「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」







         それは決して間違いではない、間違いではないのだが────。傍らのフランソワーズも困ったようにピュンマの顔を見る。



         「こんな状態だから『今更』になったのよね」

         「‥‥そう、だね」








         『こんな状態』

         そう、フランソワーズの傍にはジョーとジェットがいて。その横には必ず、と云っていい程 アルベルトが居る。


         「それ、でも‥‥訊けて良かった」









                             今更、だけど











                             今更、だから












         「何か食べるかい?───長引きそうだし、ね 奢るよ」
         「あら、どうしたの?急に」
         「ん?そりゃ『デート』だし 格好付けたいかな、って」



         フランソワーズが一瞬、瞳を見開く。大きく息を呑んで‥───ゆっくり、と 笑う。
         それ、は ピュンマに向けられた、過去の笑顔の中で 1番









                        『純粋(きれい)』な『笑顔』











                                            大きくて 青い 青い瞳(め)
                                            故郷の空と同じ澄んだ 色










         「じゃ遠慮なく‥‥大好き、よ ピュンマ」

         「ありがとう 僕も大好き、だよ フラン」










         「はいはいはいっ!俺もフランのコト、大好きだぜっ」
         「何云ってるんだ ジェットッ 煩いからどっか行って」


         ピュンマは ふと真剣な表情(かお)になる。
         ふわり、と 彼らしい微笑を湛えて フランソワーズの頬に触れて。




         「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」」




         至近距離から、声にならぬ声が上がったことは云うまでもなく。

         フランソワーズは頬に触れるピュンマの手に自らの手を重ね合わせる。





         「続き、は 今度?」

         「‥‥いいね、それ」





         くすくす、と 笑う声音(こえ)が重なり合う。
         触れ合う手も、表情も『色事』とは 掛け離れたモノ、だけれ ど。

         相変わらず、な2匹を 視界に入れつつ 呟く。







         「取りあえず、この場を抜け出すのは どう?」
         「手に手を取って?」
         「そう、手を取って」







         一瞬の視線の交差


         それが合図



         勢いよく席を立ち、手を繋いで駆け出す。








         ──────子供達の怒号を背にして









                             風に髪を靡かせて

                             柔らかな日差しの祝福を受けて










         「たまにはいいよね、こういうのも!」












              小さな痛みはまだ胸に残るけれど











         それでも













共に歩もう

僕等の道を

























         「引き際、が『誰かさん』に 似てきた気がするのは ‥‥我輩だけかねぇ」
         「誰か、って誰だ」


         「実は結構ボケで無自覚なロマンチスト体質の死神」




         「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」










         「「‥‥ぁ、アルベルトがへこんだ」」









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